御国の為に敬礼を

痛がりなさいな 

死にたがりなさいな

泣きじゃくりなさいな

 今すぐに 欲しいの


BGM"外道少女、恥の多い生涯を送る

(乙女国家)



幸せって何。

私は幸せなの?


バンギャルやってる時はただただお金を稼いでそれは苦だったけどただただチケットと遠征費にそのお金を費やしてそれだけで幸せだった。幸せをお金で買っていた。幸せは一万五千円くらいで買えた。簡単だった。地下に降りてチケットを出してドリンクチケットと交換して、急いで会場に入って交渉を済ませてあとは大好きな人たちが出てくるのを待つだけ。顔見知りに挨拶をしてビールを飲んで、出番が来たらもうあとは夢の世界に堕ちるだけ。浸るだけ。縋るだけ。手を伸ばす。目線が合う。ニタァと笑う。そうだよ、私ここにいるよ。出番が終わったらジントニック。余韻に浸りながら煙草を吸う。「どっからだって飛んでいくから」「あたし今高速バスであなたに会いに行くとこ」イヤホンをしてお酒を飲んで夜行バスに揺られる。始発の新宿に着く。夢が終わってまた次の幸せを買う為に働くだけ。約束された幸せを数日後に感じてどんなストレスもあの人の声を聴くだけで消えた。あの人のハスキーボイスを良く聴く為だけに買ったプロ用のイヤホンや、ベースの低音を聴く為だけに買ったイヤホン。3回リケーブルした。オーヲタだったかもしれない。それでよかった。音楽を聴く為だけに生きるのは幸せだった。数日後の約束された幸せ。半年後の約束された幸せ。安いビジネスホテルを予約する。とりあえずツアーは全箇所申し込んで振り込む。別に働けばいい。約束された幸せがそこにあるから。2列目のセンターと2柵のセンターは私の居場所。誰にも邪魔させない。威嚇。作り笑い。たまにおべっか。私の場所を守るため。幕が開いてほら私今日もここにいるよって、パチリと出席確認をされて笑う。「あなた追ってきてしまった」「ボクはオシャレに着飾ってどんな遠くへも行くよ」好きです。知ってます。好きです。残念ながらよーく知ってます。そんなやりとりだけをした。何度も繰り返して。好きだって知ってもらえてるだけで幸せだった。見返りなんかいらない。だって歌ってくれるから。


「君に会えたらもう死にたいな でもまだ僕は君に会えない」寿命をただただそうやって伸ばした。私は死んだ。何で死んだのかわからない。自分が幸福と思えない病を患っているから。死にたいと願うだけの毎日。誰か助けてよって言ったって正義の味方なんていないし、あの人は迎えに来ない。「でも甘かないんだぜ 迎えにゃ行かないから」迎えに来ない。でも私は行けない。じゃあ何で私は生きている。私の居場所だったところには今誰がいるの。


「君に愛されないあたしなんてさ 死んじゃえばいいのに 死んじゃえばいいのに」「愛を、愛を。知らない私たちに教えてください」私に愛される価値はない。だって全部お前のせいだって言われてきたから。愛されなくたっていいと思ってた。愛してることが幸せだから。愛されるなんて烏滸がましい。私ごときが何を言っている。寝ぼけた冗談はいい加減にしておけ。愛は代償を伴う。わからない。わからない。愛を、愛を知らない私たちに教えてください。辛い。死にたい。死にたい。死にたい。約束された幸せをください。私の中に流れ込む三億の命、みんな死ぬ。死ぬ死ぬ死ぬ。1つだって残らない。私の中で私の命と結びつかない。だってそれを望んでいるから。馬鹿らしい。鈍器で私の前頭葉を叩き割ってくれ。脳漿が飛び散るくらいにボロボロにしてくれ。そこで私は永遠になる。吐いても吐いても痩せない。けれど胃に何かあると吐く。死んでくれ。頼むからもう、私は、死んでくれ。生きたくても生きられない人がいるんだぞって言ったって、じゃあブラックジャック先生に依頼して私の臓器を全部あげる。全部あげるわ。

涙が止まらない。死んでしまえ。3番線のホームで待っているんでしょ。